「森を滅ぼす計画」・・・1978年に開発事業体が広町の開発計画を発表しました。これに対して広町の森を守る運動も開始されました。
以来四半世紀、繰り返し波状的に迫りくる森の危機に直面しながらも、森を守る必死の運動が地道に継続されてきました。
その永年の活動が結実し、ようやく2002年に開発が断念され、翌2003年には、鎌倉市によって広町緑地を都市林公園とする保全計画が決定されるに至りました。
かつて、鎌倉の70%を占めていた自然の緑地は、昭和30年代後半からの開発ラッシュで激減しました。そのような中で、広町の森は鎌倉西部に唯一残された貴重な里山であり、多くの命がきらめく自然の宝庫です。長年の開発反対運動の結果、ようやく破壊の危機を免れた広町の自然を子孫に残すことは私達市民の責務です。今後はより長く、深く、広い範囲での保全活動を続けてゆくことが求められています。
2004年9月、鎌倉市は広町緑地基本計画を策定し、引き続き、より具体的な基本設計策定作業を行ってきました。
2005年2月、「鎌倉の自然を守る連合会」は他の市民団体とともに市の基本設計素案説明を市庁舎で受け、同年3月にこれに対する意見を述べました。
2005年3月、広町の森のシンボルである山桜の巨木を救おうと、市民と市との協働により樹木医の診断にもとづく治療が行われました。この古木はオオシマ櫻と山櫻が混ざったもので、推定樹齢200年といわれています。根元を掘り起こし、落ち葉の堆肥や土壌改良肥料を施し、竹で根元に空気を送り込みました。この治療により元気を取り戻して今後もますます素晴らしい花を咲かせてくれる事でしょう。
2015年4月、"都市林"鎌倉広町緑地開園の日を迎えることができました。
1960 | 昭和35 | 鎌倉市の緑地率70%。 |
1964 | 昭和39 | 御谷(おやつ)騒動:鶴岡八幡宮の裏山の宅地開発に対する反対運動=>古都保存法の発祥、日本におけるトラスト運動のはしり。 |
1970 | 昭和45 | 都市計画法に基づき広町は第一種住居専用の市街化区域に指定される。 |
1973 | 昭和48 | 事業三社によって広町開発案発表されるも、住民の反対運動により中断。 |
1978 | 昭和53 | 県の土地利用基本計画により広町は「森林地域」に指定される。 |
1983 | 昭和58 | 事業三社が新宅造計画を市に提出:広町45ha内、40haに600戸の住宅建設計画=>広町開発反対に6万人署名集まり、市長は開発を一時凍結。 |
1984 | 昭和59 | 周辺8自治会により「鎌倉の自然を守る連合会」結成される。 |
1985 | 昭和60 | 第一回市民集会開催。 |
1986 | 昭和61 | 鎌倉市緑地保全基金制度発足。 |
1989 | 平成元 | 広町事業者が現事業三社(戸田建設・ハザマ・山一土地)となる。 |
1990 | 平成2 | 連合会により緑地指定を請願する12万人署名を神奈川県に提出。 |
1991 | 平成3 | 開発計画素案発表と事業者説明会始まる。 |
1992 | 平成4 | 県の環境評価書で広町の森は自然生態、森林形態ともに最高のA1ランクに評される。 |
1995 | 平成7 | 鎌倉市緑地保全条例制定を求め、22万人署名陳情書が市議会に提出される。 |
1996 | 平成8 | 事業者の開発許可申請を市が不許可->事業者は県の開発審査会に審査請求=>県の開発審議会は市の開発不許可処分取り消しを裁決(翌年)。 |
1997 | 平成9 | 鎌倉市議会は緑地保全条例を可決。 |
1998 | 平成10 | 事業者は開発手続き凍結の解除を請求、不可なら市に対する訴訟を表明=>市は開発手続きを再開するも、保全の話合い継続を表明。 |
「鎌倉の自然を守る連合会」は参画自治会中心にトラスト運動を展開。 | ||
1999 | 平成11 | 事業者による全22回の住民説明会が開催され、延べ850人の住民出席。 |
鎌倉市は健康ロード計画と、保全型都市公園として整備・保全の意向を発表。 | ||
2000 | 平成12 | 「鎌倉の自然を守る連合会」に七里ガ浜町内会が参加を決定=>連合会の構成は広町周辺の8自治会/町内会、4,500戸となる。 |
鎌倉市は広町、常盤山、台峰の三緑地の保全の意向を発表。 | ||
市議会は広町を都市林として保全する「広町の緑地保全に関する決議」を採択。 | ||
「鎌倉広町みどりトラスト」3,000件、3,000万円の目標ラインに到達。 | ||
2001 | 平成13 | 「鎌倉広町みどりトラスト」パンフレット配布が市内約4万戸を越える。 |
連合会が広町緑地の時価鑑定結果、74億3500万円を鎌倉市に提出。 | ||
2002 | 平成14 | 10月に事業者3社は開発を中止し、用地を市に売却することで鎌倉市と基本合意。 |
2003 | 平成15 | 7月に開発事業3社の一つ、山一土地が特別清算手続きに入る。 |
10月の市議会で市の取得対象分の買収決議が採択される=>市の決定を受けた県議会は、県が20億円で広町を共有取得することを決議。 | ||
12月に事業3社の開発予定地36.8haの所有権移転登記が完了。 | ||
2004 | 平成16 | 鎌倉市より(仮称)鎌倉広町緑地基本構想が発表される。 |
「鎌倉広町みどりトラスト」より保全費用への充当として鎌倉市に3,215万円、神奈川県のかながわみどりトラストに100万円を寄付。 | ||
「広町の森の保全を祝う会」を開催、長年の労苦による成果を分かち合う。 | ||
都市緑化功労者として国土交通大臣より表彰(10月)。市政功労者として鎌倉市より表彰(11月)。 | ||
2015 | 平成27 | "都市林"鎌倉広町緑地 開園(4月1日) |